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平幕・逸ノ城、「出だしだけの一発屋」の汚名を返上できたワケ 今年中の大関昇進にも現実味?

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相撲イメージ

 先月10~24日にかけ行われた大相撲7月場所。横綱・照ノ富士、大関・貴景勝と演じた優勝争いを制したのが平幕・逸ノ城だった。

 同場所の逸ノ城は初日から中日まで「6勝2敗」と白星を大きく先行させると、9日目~千秋楽も「6勝1敗(うち1勝は不戦勝)」と勢いは落ちず、共に「11勝4敗」だった照ノ富士、貴景勝を抑え「12勝3敗」で優勝。2014年の入門から8年を経て果たした自身初優勝に、ネット上のファンも「酸いも甘いも味わった逸ノ城の優勝は感慨深い」と感無量だった。

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 逸ノ城は鳥取城北高校、鳥取県体育協会を経て2014年1月場所で初土俵を踏むと、入門前年に実業団横綱に輝いた実力もあり、幕内、十両をそれぞれ2場所で通過。さらに、新入幕した同年9月場所でも「13勝2敗」と驚異的な成績をマークし、翌11月場所では昭和以降では初となる新入幕翌場所の関脇昇進を果たした。

 入門から1年足らずで関脇に上がったスピード出世ぶりに、当時のファンは「とんでもない怪物が出てきた」、「瞬く間に横綱まで駆け上がるだろう」とさらなるブレークを期待。ところが、注目度が高まりメディア露出も増加した日々で生じたストレスからか、逸ノ城は同年10月に帯状疱疹を発症し一時入院。1週間で退院したものの、翌11月場所は「8勝7敗」と勝ち越しがやっとだった。

 この11月場所でコンディション、相撲勘が狂ったのか、翌2015年以降の逸ノ城は勝ち越し、負け越しを繰り返すようになり、番付も平幕中位付近が定位置に。さらに、椎間板ヘルニア(2016年9月、2019年11月)、右膝蓋骨骨挫傷(2019年5月)、右肩関節脱臼(2019年9月)と故障休場も頻発するように。一時は体重230キロに迫るほどの巨体から下半身に相当な負担がかかったことが頻発の原因ともされているが、近年は「結局出だしだけの一発屋だったのか…?」、「燻ったままひっそりと消えていくんだろうか」といった諦めの声も少なくなかった。

 それゆえに、今回の初優勝に万感の思いを抱いたファンも多かった逸ノ城。今年は8勝、9勝、全休(コロナ感染のため)と7月場所前までは目立っていなかったが、報道によると先場所の全休期間はこれまで何度も故障・不振を強いられた経験から、焦らずにじっくり自分のペースで調整。また、先場所以前から減量にも努めており、7月場所は体重211キロまで落としていた。多くのファンを心配させた停滞期間も、決して無駄ではなかったことが証明された初優勝でもあったといえるだろう。

 紆余曲折を経て遂に賜杯をつかんだ逸ノ城だが、7月場所千秋楽翌日の一夜明け会見では「優勝をきっかけにして、しっかり上をめざせるように頑張っていきたい。大関をめざしていきたい」と早くも次の目標に目を向けたことが伝えられている。大関昇進は“三役以上で直近3場所33勝以上”が大まかな目安とされているが、直近では2018年7月場所で平幕優勝(14勝1敗)を果たした栃ノ心が、翌場所以降も10勝、13勝と好成績を残し昇進を果たしている(現在は前頭)。栃ノ心のケースを踏まえると、逸ノ城も9、11月場所の成績次第では今年中に大関の座をつかむ可能性もある。

 また、ファンの間からは現大関陣に活を入れる存在として逸ノ城の大関昇進を望む声もある。角界では現在貴景勝、御嶽海、正代の3名が大関に在位中だが、全員が今年カド番を経験するなど成績に安定感がなく、相撲協会・八角理事長ら親方衆もしばしば苦言を呈している。それゆえに、ネット上には「逸ノ城が今の勢いのまま大関に加われば、他の3人にとっても相当な刺激になるのでは」という見方も散見される。

 新入幕当初の“怪物”ぶりを取り戻した逸ノ城。この勢いが今後どこまで続くのか、9月場所以降にも要注目だ。

文 / 柴田雅人

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