プロ野球界は2020年東京五輪の開催中、ペナントレースを一時中断することを決定した(9月12日)。同年7月22日から8月13日までの23日間だが、予定では五輪閉会式は8月9日に行われる。あえて閉会から4日間も間隔を置いたのは、野球・ソフトボール競技に招集された代表選手たちに調整の期間も与えるためだという。
「ペナントレースを一時中断させるということは、開幕日も例年よりも約一週間前倒しされます。20年の開幕ゲーム主催権を持つ楽天から要望があり、本拠地・仙台以外の球場で開幕ゲームを行うことも了承されました。3月20日ごろの仙台はまだ寒いので」(スポーツ紙記者)
日本シリーズも11月7日開幕となる。11月に日本シリーズが行われるのは、東日本大震災の影響を受けた2011年以来となる。プロ野球界が異例のスケジュール組んだ理由は「五輪に協力するため」だが、どの球団も大幅な観客動員数のダウンを覚悟しているそうだ。
「東京五輪の関係で同年の神宮球場が長期間使用できなくなるのは、既報通りです。同球場を本拠地とするヤクルト球団にだけ負担を強いるわけにも行きません。神宮球場は高校野球、大学、実業団も使用するので各野球団体が協力しなければなりません」(在京球団スタッフ)
東京ドーム、横浜スタジアム、ZOZOマリンなどもアマチュア球界に提供する期間が出るという。2020年のプロ野球は例年以上に地方遠征の多いシーズンとなりそうだ。地方の球場は収容人数も多くない。しかし、収入減の理由はそれだけではなかった。
「消化試合が増えましたからね…」
球界関係者がそう言う。消化試合とは優勝チームが決定した後、その文言通り、規定試合数を消化させるためだけに行われるゲームのことを言う。とくにセ・リーグは深刻で、広島が今、3年連続優勝のカウントダウンがされているようにシーズン半ばで結果が見えてしまう。一時期、クライマックスシリーズ制が導入され、Aクラス争い、つまり、143試合全てが終わらなければ、日本シリーズ進出権が分からなくなった。その時点では消化試合はなくなったと解釈されていたが…。
「巨人が雨天で流した9月4日のDeNA戦を28日に組み入れ、緊急のチケット販売がされました。12球団で1、2位を争う観客動員数を誇る巨人が、その試合に限って『女性、中高大学生は500円』『小学生100円』なんて信じられないような安値で販売しているんです。ここに、優勝戦線から脱落した巨人の危機意識が強く感じ取れます」(前出・球界関係者)
同年のプロ野球界は、オリンピックに観客を奪われることにもなりそうだ。
野球ファンの流出を防ぐには、魅力のある試合を続けていかなければならない。広島の独走を食い止める手段はもちろんだが、地方遠征でファンを拡充するくらいの意気込みも聞こえてこないのは情けない限りだ。(スポーツライター・飯山満)