「ブートキャンプで鍛えよう」「士官クラブに行ってみよう」「初めての射撃訓練」「軍法会議を通訳する」などユニークな内容ながら、国防総省外国語学校(DLI)のメソッドをもとにした本格的な語学本だ。
「何が何でも英語をモノにしたい人を対象にしました。外国人と恋に落ちたい、海外で暮らしたい…動機は何でもOKです。軍隊式といっても文の基本構造は同じなので、日常会話に応用できますよ」と著者の加藤喬さん(=写真)は話す。
加藤さんが日本語学部長として教鞭をとるDLIは、世界各国に派遣する米兵に現地語を教える軍の語学学校で、学生総数は約2500人に及ぶ大所帯。日本で言えば自動車学校に近いシステムで、学生の年齢や経歴、階級による区別はない。
「アラビア語学部は経験の浅い新兵が多いのですが、日本語学部の場合は経歴も階級もてんでバラバラです。学歴はないけど記憶力に勝る新兵と博士号を持つ空軍パイロット、さらにはグリーンベレーまでが机を並べるので、いかに平等に効率よく教えるかという難題が問われます」
外国語の習得とは「音」と「意味」の格闘の日々だと加藤さんは話す。
「毎日遭遇する未知の音に根気よく意味を与え続け、語彙として取り込んでいく際限のない作業なのだから、辛いのは当然です。でも、努力を続けていればふとしたきっかけで理解できるようになる。この喜びが実感できればしめたもの。英語が話せるようになりたい、大切なのはこの情熱を持ち続けることなのです」