「1970年、32歳という若さで亡くなった画家・神田日勝さんです。彼は疎開後、北海道で農家をするかたわら独学で油絵を始め、ベニヤ板に馬や牛などを描くことで有名になりました。しかし、風邪をこじらせて敗血症にかかり他界。ちなみに、入院中に自宅に帰り絵を描いたというエピソードがあります」(芸能ライター)
実は、他にも『なつぞら』では、実在の人物をモチーフに描かれているという。
「奥原なつも、女性アニメーターの先駆け・奥山玲子さんです。なつのように戦災孤児というわけではありませんが、幼いころから文学や物語を好んでいたそうです。東映動画で『狼少年ケン』『魔法使いサリー』『ひみつのアッコちゃん』で作画監督を務めるなど活躍。また、結婚・出産後も仕事をしています」(同)
その夫となる坂場一久(中川大志)にもモデルがいる。奥山と結婚した小田部羊一だ。実は、『なつぞら』のアニメーション時代考証を手掛ける人物。奥山と結婚後、子どもの保育所への送迎のために自動車運転免許を取得したことも。仕事的には『アルプスの少女ハイジ』『フランダースの犬』『風の谷のナウシカ』『火垂るの墓』の原画や作画を手掛けている。
ただ、この坂場は、仕事としてのスタンスは高畑勲をモデルにしていると言われる。坂場、高畑とも東大卒。しかも自身は絵が描かないことも共通しており、作品作りに妥協を許さないところも似ている。
さて、宮崎駿をモデルとした人物もいると言われる。それが、染谷将太演じるアニメーター神地航也だ。この日のオンエアでは「世界中の人があっと驚くような日本のアニメーション動画を作りたい」と息巻いていた。後半にかけて失速気味という視聴者もいるが、このドラマは日本のアニメ史を描いてもいるのである。
(文中敬称略)