7月7日、伊東市の田久保真紀市長は辞職を表明し、今後行われる市長選に改めて出馬する意向を示した。一部報道によると、今回の学歴詐称問題のゴタゴタにより「伊東市のイメージダウン」「観光客離れ」が心配されているという。
観光客離れは、海水浴場があり温泉地でもある伊東市にとって大きな課題であり、これから観光シーズンを迎える今、関係者たちが最も頭を抱えている問題であろう。だが、伊東市にとって直面する問題は観光客離れだけではない。今回の学歴詐称問題をきっかけに、これまで伊東市がPRしてきた重要な「観光資源」にも影響を与えてしまうのではないか、とする声もある。
伊東市は、新紙幣の顔にも選ばれた「日本の近代医学の父」で北里大学学祖である北里柴三郎に非常にゆかりの深い「学問の町」でもあるのだ。実は北里は大正時代初期、伊東市に別荘を所有。北里は伊東の地で、温泉を使った「温泉療法」を実践し一般市民へと開放したほか、北里は「伊東の子供のためになれば」と私財を投じ「つうがくばし」と呼ばれる橋を作るなど伊東市の発展に貢献した人物なのだ。
伊東市と北里の関係は長らく世間には知られていなかったが、2019年に北里が新千円札の肖像に選ばれてからは伊東市も積極的にアピールし、2024年1月には市内に「北里柴三郎博士顕彰碑」が建立されるなど、「学問の町」として知られかけていた所に今回の市長による「学歴詐称問題」は思わぬイメージダウンとなりそうだ。
もっとも、伊東市と北里の関係は像が建立され1年半というタイミングであり記念館などの設置などもないため、観光客離れにはほぼ繋がらない可能性もある。「日本の近代医学の父」は今回の学歴詐称問題を草葉の陰でどう見ているのだろうか……?