実はそこには、ある政治家がかつて行った剛腕戦略を「猿マネした」との見方が、急浮上しているのだ。
「その人物が“コンピューター付きブルドーザー”と呼ばれた田中角栄元首相なのです。同氏は首相になる前に佐藤栄作内閣で幹事長に就任し、'65年に『注目される放送事例。最近の重要問題をめぐって』と題した文書をNHKを含む民放キー局に配布した。同文書は『政府批判が多い』『解説者が偏向している』など批判のオンパレードで、これが『安倍首相のやり方とそっくり』と話題になっているのです」(政治部記者)
ちなみに、角栄氏の多大なメディア干渉はこれだけではない。'67年にはTBSがベトナム戦争批判とも取れる番組『ハノイ−−田英夫』を報道したが、この際には同社の社長や幹部を自民党本部に呼びつけたほど。放送法を盾に、傍若無人な批判を繰り広げたのだ。
「また、'68年には成田空港の建設闘争を取材中のスタッフが、ロケバスに反対派の農民を便乗させていたことが発覚。これを偏向報道だと追及して、TBSを全面降伏させた経緯がある。そのため、角栄戦略をマネた安倍のやり口は、『今後さらにエスカレートするはず』『批判報道を徹底的に抑え込んでいく気だ!』と評判になっているのです」(別の政治部デスク)
もっとも、気になるのは安倍首相がなぜ今、角栄氏のメディア戦略を持ちだしたのかという点。そこには、邪な目論みが存在すると見られているのだ。
前出の政治部記者が言う。
「アベノミクスの余波で株価が上がっている今、安倍首相はさらに独裁色を強め、長期政権、院政を敷こうと躍起です。そのため、角栄氏の剛腕戦略に飛びついた。メディアをなぎ倒せば、これらが手中に収まると見ているのです」(同)
メディア潰しはまだまだ続く。