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サヨナラ勝ちの楽天・石井監督、殊勲者よりもベタ褒めした選手とは

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石井一久監督

 サヨナラ3ラン。8回に阪神打線の猛攻でスコアがひっくり返った時、楽天モバイル球場のイーグルスファンにも諦めムードが漂っていた。しかし、勝負事は最後の瞬間まで分からないものである。9回裏、トラの守護神・湯浅京己が1アウトから2者連続のフォアボールを出すと、球場にまた活気が戻ってきた。

 小深田大翔のひと振りで、楽天イーグルスがサヨナラ勝ちした(6月9日)。石井一久監督の笑顔を久しぶりに見たが、試合を総括するコメント、着眼点が独特だと思った。

 「真っすぐにも力負けせず、よく打った。チーム、小郷も救ってくれた」
 普通はサヨナラホームランを打った殊勲者を手放しで褒めるものだ。「力負けせず」と小深田が奮闘した箇所を挙げ、かつ小郷裕哉の名前を出しながら、試合全体の流れを話していた。

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 「8回に逆転された時、小郷のエラーが絡んでいます。あのまま楽天が負けていたら、小郷が敗因を背負う感じでした」(地元メディア)

 小郷は平凡なライトフライを落球し、トラ打線を勢いづけてしまった。しかし、石井監督が饒舌になったのは、先発・辛島航について聞かれた時だった。

 辛島は今季初登板だったが、
「粘り強くしっかりと7回ぐらいまで(試合を)持って来てくれた」
「それが彼の真骨頂!」
 と、絶賛していた。

 6回3分の2を投げて被安打3失点1(自責点0)、ボールを低めに集め、時折、大胆にも球速を落とした緩いカーブも投げ込んでいた。チェンジアップ、スライダーには定評のある左腕ではあったが、同日の辛島は落ち着いていた。

 勝ち星が付かなかったのは気の毒だったが、こんな指摘も聞かれた。
 「ここしばらく、石井監督は先発投手陣の不甲斐なさを口にしていました。ウラを返せば、先発投手が責任イニングを投げてくれたら、負けない、と」(前出・同)

 そう言われてみれば、6月4日の東京ヤクルト戦では、先発・荘司康誠が2イニングで交代となったが、石井監督は「3連敗だが?」の質問に、「先発がちゃんと仕事をできていない。せめて5回くらいまでは試合を進めてくれないと、厳しい」と言い放っている。

 同日の不甲斐ない荘司を叱るのではなく、瀧中瞭太、早川隆久、荘司と3試合続けて先発投手が責任イニングの5回を投げ切れなかったことに苦言を呈していた。

 「投手出身の監督だから、彼らに求める内容も高くなるのだと思います。でも、先発投手の不振は最終的には監督の責任です。キャンプ、オープン戦の調整が失敗したわけですし、石井監督はゼネラルマネージャーでもあります。チーム補強の責任者です」(球界関係者)

 20勝31敗1分。パ・リーグ最下位だが、同日の小深田のサヨナラ弾のように「もうダメだ…」と思った時に蘇って来るフシギなチームでもある。辛島の好投はパ・リーグ混戦の前兆かもしれない。(スポーツライター・飯山満)

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