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男と女の官能事件簿 74歳男が三角関係で友人男性を襲撃(2)

 守口が26歳の女性と交際を始めてから半年近く経とうとしていた5月半ば頃から、それまでは毎日のように守口の部屋を訪れていた彼女が、来る回数が次第に少なくなっていった。そして、6月の初め頃には、ぱったりと姿を見せなくなったのだ。

 これを守口が不満に思わないわけはない。そこで守口は手を尽くし、知り合いのつてをたどって彼女に連絡を取った。そしてある日、彼女を自宅に呼び出したらしい。
 するとその日、守口の部屋からは激しく言い争うような人の声や、物が壊れるような音が外まで聞こえてきたという。
 これについて近所の住民は、「どうやら2人は、かなりひどいケンカになったらしい」と言うが、はっきりとしたことはわからない。
 ともかく、その後は彼女が守口の住むアパートに来ることはなくなってしまった。

 ここまでは世間にありがちな痴話ゲンカなのだが、守口は怒りの矛先を友人の中島さんに向けたのである。
 どういうわけか、守口は「中島さんが女性を奪った」、あるいは「女性が中島さんに乗り換えた」と思い込んでしまった。中島さんが携帯電話で話をしているのを見ただけで、「あの女と話しているんだ」などと邪推するようになったという。
 しかし、それはどうやら事実無根で、当の中島さんは女性を部屋に上げたこともなければ、ろくに話したこともない。だから、「最近、守口さんはなぜか機嫌が悪い」という程度にしか感じていなかった。
 だが、守口は中島さんに対して、嫉妬と憎悪の念をつのらせていた。

 そして、事件当日の午後8時頃、守口は刃渡り20センチもあるサバイバルナイフを手にして、中島さんの部屋に怒鳴りながら押しかけた。そして、対応に出た中島さんの胸や腹などをメッタ刺しにして、ついには首にまで切りつけたのだ。
 いきなり襲われた中島さんは、突然のことでなすすべもなかった。首や腹部など十数か所に傷を負い、出血性ショックで一時は重体となったものの、その後回復して一命を取りとめた。

 事件後、守口は自ら消防に「ケガ人がいる」と通報。駆けつけた中央署員が問いただすと、「自分が刺した」と犯行を認めたため、その場で緊急逮捕された。
 三角関係の真偽はともかく、友人をいきなり殺そうとするとは、あまりに短絡的だった。(了)

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