問題となっているのは、1993年オフから球界に導入されているフリーエージェント(FA)制度についての発言。報道によると、原監督は4日「FA移籍自体は明るい話なのに、人的補償が絡むと暗い話になる。他球団の参戦を促すためにも人的補償は撤廃すべき」という旨の発言をしたという。
現行のFA制度では、元球団の旧年俸順位でAランク(上位1〜3位)、Bランク(上位4〜10位)に位置する選手を獲得する際、獲得先の球団は28人のプロテクトから漏れた選手(外国人選手やドラフト指名の新人を除く)の中から、元球団が指名した1人を人的補償として譲渡しなければならない。原監督はこのルールを改めることで、FA市場が今以上に活性化すると考えているようだ。
しかし、93年の制度導入以降、昨年までに12球団で断トツの26人(2位はソフトバンクの13名)を獲得した球団の監督による発言に、ネット上のファンからは「それは虫が良すぎる、金満球団が得をするだけじゃないか」、「巨人のことしか考えていない身勝手な意見にしか聞こえない」、「毎年FAで選手を乱獲している巨人が言っても何も説得力が無い」といった批判が殺到。
一方、「選手じゃなくてドラフト指名権が補償ならよくない?」、「人的補償は無くしてもいい、その代わりにドラフト指名権を渡せ」、「Aランクならドラ1、Bランクならドラ2の指名権を譲渡するっていうのはどうだろうか」といった声も見受けられた。
「アメリカ・メジャーリーグでは、元球団が優先的に提示するクオリファイング・オファー(QO/リーグの年俸上位125名の平均額を年俸とした1年契約)を拒否してFAとなった選手が移籍した場合、獲得先の球団は補償として元球団にドラフト指名権を譲渡しなければならないというルールが存在します。もし人的補償を撤廃するなら、代わりにこの制度のようなドラフト指名権を使った補償を認めるべきと考えているファンは少なくないようです」(野球ライター)
多くのファンが拒絶反応を示している原監督の発言だが、こうした対案にも言及していればまだ納得の声を得られていたのかもしれない。
文 / 柴田雅人