最初に打撃陣だが、昨季後半戦を牽引したデスパイネの来日が4月中旬になりそうだ。
キューバ国内リーグでの所属チームが好調で、プレーオフ進出が“確実視”されている。その影響で来日が遅れるわけだが、「来日直前まで試合をしているのだから、チーム合流と同時に即スタメンも」(チーム関係者)の声も聞かれたが、
「キューバ国内でのペナントレース、プレーオフを戦い、ここに(来日のための)長時間の移動も重なるのだから、怪我が心配」
との見方もされていた。
投手陣はエース・成瀬善久の抜けた穴を埋めるだけでは、上位進出は叶わない。昨季のチームの勝ち頭が10勝(=石川歩)では物足りない。本来なら、最多勝争いに加わっていたはずの涌井秀章が8勝で、唐川侑己が不振で4勝止まり。古谷拓哉、藤岡貴裕の防御率も4点台だ。計算の立つ先発投手の補強は不可欠ではあるが、まずは、涌井、唐川の復活が“大前提”となる。
涌井、唐川はポーカーフェイスである。寡黙に練習メニューをこなす様子は、昨年と変わらない。復活のため、自身のやらなければならないことは分かっている。ここまで積み上げてきた実績があるからだと思うが、落ち着いている。ブルペン投球にしても、キャンプへ終了までの自分の計画があるのだろう。若手が序盤から50球以上を力投しても、7、8割の力で投げ込むだけで切り上げる日もあった。新任の落合英二、小林雅英両投手コーチもそれを見守っているといった印象を受けた。彼らはオープン戦も『調整』に当ててくるかもしれない。復活の判断はシーズンに入ってからになりそうだが、“強いオーラ”を放っていたニューフェイスがいた。
韓流右腕、李大恩(イ・デウン=25)だ。
韓国プロ野球球界を経由せず、高校卒業と同時に米球界に挑戦した。その異色の経歴は報じられていたが、投球スタイルなど詳しいことは聞かされていなかった。
先発ローテーションに、確実に入ってくる。「3連戦の初戦を託せる」、そんな期待も持てた。振りかぶって左足を挙げるときに、右肩を大きく落とし、全体重をボールに乗せて来る。投げ終わった後、勢いが余って一塁方向に一、二歩あるくが、とにかく、ストレートが速い。また、重質感もある。『縦のカーブ系のボール』(チェンジアップ?)もブレーキが掛かっており、緩急での勝負もできそうだ。全体的にボールが高いとも思ったが、スライダー、横軌道のカーブなど球種も持っている。実績に入って、セットポジションになったとき、クイックができるのか、クイックができたとしても球速が変わらないのかなど、判断しなければならない材料はあるが、李大恩の獲得は、渉外担当の“大金星”と言えるそうだ。
李大恩はカブス傘下のマイナーに在籍し、将来を嘱望されていた投手の1人だったという。だが、低迷の続くカブスは勝ちに行かなければならないため、15年は若手に与えられるチャンスは限られている。「だったら、日本で」と思ったのだろう。
涌井、唐川、石川、李大恩は10勝以上する力がある。先発ローテーションは、ここに古谷、藤岡が加わる図式で、防御率1点台のクローザー・西野に繋ぐ。話題の京大卒投手・田中英祐はストレートのキレは一級品だと思ったが、「一軍に残れるかどうか」のボーダーライン上にいるというのが、現時点の正直な評価ではないだろうか。外国人枠の問題もあるが、陳冠宇(チェン・グァンユウ=前DeNA)も良い。陳冠宇とともに昨秋とトライアウトで獲得を決めた矢地健人も、古巣を後悔させるようなボールを投げていた。西野に繋ぐセットアッパーが一枚増えたと見ていい。
投手陣は補強されている。
ドラフト1位・中村奨吾は二塁の定位置をクルーズ、根元らと争っており、開幕オーダーでその名前を見られないかもしれない。よって、スタメンオーダーは昨季とさほど変わらない可能性が高い。15年の千葉ロッテはロースコアで逃げ切る野球になりそうだ。