2人はキックボクシング団体RISE『RISE WORLD SERIES 2019 Final Round』千葉・幕張メッセイベントホール大会で相まみえる。志朗はタイを拠点としたムエタイファイターとして知られる26歳。キックボクシングではプロデビュー以来、22試合17勝1敗4分けの好成績を残している。志朗に唯一の土をつけたのは江幡塁のみ。江幡はKNOCK OUT『K.O CLIMAX 2019』(8月18日)で行われた初代スーパーバンタム級王座決定ワンデートーナメントで、小笠原瑛作との死闘を制し新王者に就いた。江幡は天心に直接「闘いたい」と意欲満々で、先日も改めて「天心戦」を訴えたばかりだ。
しかし「天心戦」の切符は、RISEワールドシリーズの-58kgトーナメントで勝ち上がり、決勝に進出した志朗が先に手に入れた。RISEルールで決勝に進んだ志朗だが、「天心君とやるならボクシングの練習をしなきゃいけない」と、7月の準決勝終了後に話している。そこで今回は、プロボクシング世界王者、井上尚弥のバンテージ巻きとしても有名な永末“ニック”貴之トレーナーのトレーニングキャンプに参加した。
永末トレーナーはキックボクシング、ボクシング、MMA、空手など格闘技の選手だけではなく、他スポーツの選手の指導にも当たっている。天心のフィジカルも担当しているとあって、交流があるTEAM TEPPENの“ヴァンパイア・プリンス”白鳥大珠、結城将人、工藤red玲央ら、天心の“同門”に当たる選手たちも一緒に参加。白鳥も-61kgトーナメントの決勝に進出、天心・志朗とともに9.16幕張大会で、梅野源治と世界一の称号を争う。
永末トレーナーが掲げたキャンプのテーマは「限界を超えろ」。早朝の第1部ではスキー場横の坂道の往復走で、参加者は全員息を上げていたが、志朗は強度を上げて、レブナマスクを着用して走っていたという。昼の第2部、夕方の第3部では現地の体育館を借りてマススパーや体幹トレーニング。ここでは、志朗対白鳥などTEAM TEPPEN勢と拳を合わせる場面もあった。
「今回のトーナメントに参加することになってから大きな変化を感じます。特にこの間のルンキット戦でのモチベーションは高かった。そのおかげで体つきも変わったと思います」
6月上旬にも志朗のトレーニングを見ている永末トレーナーは志朗の成長ぶりを認めている。天心陣営は志朗の決勝進出を「想定内だった」としている。天心が提唱したトーナメントなだけに、入念な準備をしてくるのは間違いない。だが、日本ではなかなか脚光を浴びるチャンスがなかった志朗の眼差しには、これまで天心が対戦した日本人選手とはひと味違う鋭さがある。2人と接点を持ち「天心戦」を見据える江幡塁にとっても注目の一戦になるだろう。
(どら増田)