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高橋四丁目の居酒屋万歩計「竹子」(たけこ、居酒屋)

 JR飯田橋駅神楽坂口から徒歩430歩。

 「竹子」はおもしろい。高級割烹かとも見紛うばかりの門構えを、おそるおそる入ってみると、失礼ながらこれがただの大衆居酒屋。広さも広し、1階から3階まであって、350人まで収容可能という。神楽坂散歩のおひとり様から、大中小の宴会まで、気取ったデート以外のすべての“ちょいと一杯”を叶えてくれる。
 つまみの、なま物、揚げ物、煮物などにも手抜き、手抜かりはない。さすれば、すっぽん一匹コース(3〜4人前・9800円)などという高級食材へも、思い切ってジャンプしてみようかという勇気も芽生えようというものだ。ふだんは290円の生ビールも、金曜と祝前日以外は180円となる。
 もつ煮で生ビールを5杯飲んで1080円。はい、正解です。もつ煮は180円なのでした。
 やや高級志向の神楽坂にあって、並み中の並みを標榜(ひょうぼう)して元気に営業中(年中無休・午後5時から午前5時まで)の「竹子」が、今夜は、とりわけ3階が盛況である。席はまだありますかと尋ねたら、折りよくキャンセルが出たという。売り切れだったのですね、と尋ねると、毎回そうですよという答え。なにを目指してそんなに人がたくさん集まってきているかといえば、月に一度の居酒屋竹子恒例になっている“飲み放題付き落語会”。落語芸術協会の御墨付きもあり、着々と回を重ねているらしい。

 3階の開場は午後7時、8時から落語を二席、その後、演者による抽選会など、9時半お開き、という流れ。税込み2625円で、瓶ビール、焼酎、ワインなどテーブルに置いてある酒が飲み放題。条件がひとつだけあって、おひとり様1品以上の料理を注文すべし。無理難題ではない。ほろ酔いで、落語を聴きながら、すしでもつまんでいると、こりゃいいね、である。牛のレバ刺しは仕事が丁寧だった。とろたく巻き(トロと沢庵)と細巻き4種は、空いた小腹を十分に満たしてくれた。ビールは5本を開けた。
 それにしても、落語は本当に上げ潮に乗っている。見渡すと、若い女性6人に青年2人、という集団が3組もいて、6+2というのがどういう具合でそうなのか、単なる偶然なのか、必然となるべき萌芽があるのか、興味のつきないところであるが、8人の集団は飲むは、食うは、笑うは、お代分を十二分に堪能していらっしゃった。
 演芸専門誌「東京かわら版」によると、東京では毎日20〜30もの落語会が開かれている。そのひとつに首をつっこんでみた、たのしい一夜でした。予算4585円(うち飲み放題の落語会 2625円)。

東京都新宿区神楽坂2-9

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