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「おぐらが斬る!」銀座の強盗と身を守る意識が低い日本人

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銀座の高級時計店で白昼堂々の強盗事件が起こった。ガラス越しに暴れる強盗たちが動画に収められており、通行人たちは逃げるでもなく普通に歩いているか傍観している。傍観者の半分ほどはスマホで撮影をしていたという。そこには凶悪犯罪の現場にいるという緊張感はなかった。

さらに通行人であろう男性や女性が、犯人の逃走を少しでも遅らせるためか、開いていたドアを閉める様子も撮られていた。

中には「何かの撮影じゃないのかと思った」人もいたという。おそらく強盗の現場にいて、逃げもせず眺めたり、スマホで撮影をする国民というのは、日本くらいかもしれない。我々はいい意味でも悪い意味でも平和ボケしているのだろう。

強盗は5~6人組でそのうち4人は逮捕された。逮捕された4人は全員19歳以下の少年であった。1人は高校生、1人はアルバイト、後の二人は無職であった。

あまりにも無計画でずさんなやりかたであるため、いわゆるバックに黒幕がいる闇バイトの可能性がある。

日本という国は世界でもめずらしいくらいに犯罪が少ない。

2017年に日本で発生した殺人事件は307件。米国は日本の56倍の1万7284件である。

その平和な国で、ここのところ強盗や強盗殺人が目立つようになってきた。一つは闇バイトと言われる、黒幕の指示で見ず知らずの人が集められ、強盗を行うケースだ。

闇バイトで使われる人は素人で使い捨て。黒幕にしてみれば、目的のブツさえ手に入れば闇バイトなどどうなろうと構わない。闇バイトの実行犯は加害者でありながら同時に被害者となるのだ。

今回の銀座高級時計店強盗事件にしても、強盗で100点以上の腕時計が盗まれ、そのうち30点しか押収できていない。黒幕が残りの70点を手にしたとすれば、この強盗は成功と言えるだろう。

刑法犯罪は2012年から2022年までの10年間で、総件数でおよそ3割減少した。そのおかげか我々は安心して町を歩くことができた。

我々がどれだけ平和ボケしているかというと、安部元総理が銃撃されたときも、安倍元総理本人はもちろん、周囲の人たちも「なに? 花火?」と思い誰も身を伏せようとしなかった。

筆者は護身術や防犯訓練の講師をすることがあるが、日本人はあまりにも無防備だ。世界を代表する都市東京で、自転車に鍵をかけずに買い物をする主婦は多い。昼間鍵をかけずにいる人も少なくない。

平和ボケでいられるというのは素晴らしいことだ。しかしそんな平和な時代はいつまで続くのであろうか。今回の強盗事件を見て、もう少し我が身を守る意識を高めたほうがいいと思うのだが・・・

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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