『ティファニーで朝食を』−−1958年に作家・トルーマン・カポーティが、ニューヨークを舞台に「自由奔放に生きる女性の都会劇」をテーマにした中編小説。当時としては斬新な切り口で出版業界に衝撃を走らせた作品であったようです。
その「話題作」が1961年、満を持して映画化。主役の「自由奔放に生きる女性(ホリーゴライトリー)」にオードリー・ヘップバーンを抜擢したあまりにも有名な作品ですね。ちなみに、ヘップバーンの本名は「オードリー・キャスリーン・ファン・ヘームストラ・ヘップバーン=ラストン」です。何だか登場人物が6人いるような名前ですが、この舌を噛みそうな、延々続くはカタカナこそヘップバーンのそれなのです。
さて、ヘップバーンといえば、『ローマの休日』『シャレード』『ティファニーで朝食を』…など様々な代表作がありますが、今回僕は『ティファニーで朝食を』をチョイスしたいと思います。今作は、僕が生まれる前にヒットした作品ですが、世代を超えた話題作ですから、僕は幼少の頃から知っていました(ただ、内容は今一つピンとこなかったですけど)。
スローなテンポでゆったり落ち着かせてくれる主題歌『ムーン・リバー』は、のんびりムードの僕にピッタリですし、何よりヘップバーンの美貌は圧巻。時代は違いますが「和のエビちゃん」に対して「洋のヘップバーン」…さながら、そんな感じです(私見ですよ、勿論)。基本的におカネが無い僕はDVD を買わず「レンタルに命」を踏襲しています。 しかし、今作だけは、レンタルでは無くDVDを数年前に購入したという印象深い作品です。
自由奔放に生きる女性ホリーはニューヨークのアパートで猫と一緒に住んでいます。しかし、その猫には名前はないのです。頻繁に鍵をなくすホリーはその都度、階上にすむ芸術写真家に開けてもらいます。設定上ではその芸術写真家は日本人。演じるのはミュージカルからコメディ、シリアスドラマまでをハイレベルでこなすミッキー・ルーニー!! です。今回はコメディでの登場でした。所々で演じた「ちょっとしたズッコケ感」や笑いを狙ったセリフはスルーしました。が、コミカルな動きで顔や顎を軽く動かしたり、パチリパチリと瞬きをする動きはさすが「アカデミー賞名称賞」を受賞しているだけあり、高い演技力でした。
なーんて、正直まだまだ人様の「演技力」なんて分からない、ヒヨッコの西田隆維が一丁前のことを綴りました。とはいえ、やはり「役者」の世界に入ってからは以前とは映画の見方が180度違ってきました。
それは…主役ではなく周りを観てしまう! という事です。実際、「レストランで言い争うカップルではなく、その周りでクリームソーダを食べるのんきなカップル」。「急いでいる主役に対してのんびりと信号待ちをしている通行人」…等など。
大きな声では言えませんが、視点の変化は、「僕の演じる場面が「脇オンリー」だからなのです。主役を経験した事の無い僕には主役の気持ちが「?」なのですよ。情けない…。
さて話の続きですが、ある日、同じアパートに住む作家のポールという青年が「電話を貸してください」とホリーの部屋にやってくるのです。ところが、そこは「自由奔放」なホリー、電話の置いてある場所をポールに伝えます。
「電話が置いてある場所は…トランクの中」
さらにホリーは自身のお出かけ準備中をいい事にポールを「利用」します。
「(私の)靴をとって?」
ポールは慌てて靴を探しますが、いくら探しても見つからない…。当たり前なのです…靴は花籠に置いてあったのですから(それも片靴だけですが)。
そんなこんなちょっとした騒動後、ホリーは外出。彼女のお出かけ先は「シンシン警察署」で目的は所得税隠しで捕まっているマフィアのドン・サリートマスとの面会だったのです。ホリーが彼に会う理由は「週一回会えば100ドルのお金が振り込まれる」というモノ。
自由奔放もそこまで行くと「ホリーワールド」ですね。
一見すると、ハチャメチャなホリーですが、彼女にも夢はあります。入隊中の兄フレッドを退役させメキシコで馬と土地を買い暮らすという壮大な計画です。
「兄の為に、頑張る妹」という気持ちが芽生えていたのか…と思いきや、彼女の貯金はわずか200ドルなのです。
「さすがはホリー、やってくれるな〜」と感心した僕ですが、当時の貨幣価値が全く分からず、調べることすらなく、堂々と「200ドル」と書いてしまった僕も「自由奔放に生きる」オトコでした。
監督 ブレイク・エドワーズ
脚本 ジョージ・アクセルロッド
ホリー・ゴライトリー=オードリー・ヘップバーン
ポールバージャック=ジョージ・ペパード
ドク・ゴライトリー=バディ・イブセン
ユニオシ=ミッキー・ルーニー
※今回の写真はヘップバーンでは無く僕の写真です(6月12日に皇居で開催された「第1回 AIR RUN TOKYO 皇居駅伝」から)
<プロフィール>
西田隆維【にしだ たかゆき】 1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
陸上超距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。
09年2月、現役を引退、俳優に転向する。10年5月、舞台『夢二』(もじろう役)でデビュー。ランニングチーム『Air Run Tokyo』のコーチも務めている。