松井は、工藤静香のアイドル期と呼ばれる93年までのシングルのうち、計10作の作詞を担当し、いずれもオリコンTOP10入り、このうち「恋一夜」と「くちびるから媚薬」はオリコン1位を獲得している。また、今年10月に『工藤静香×DAMコラボレーション企画』 として、カラオケで歌いたい楽曲を募集したところ、「恋一夜」、「くちびるから媚薬」、「抱いてくれたらいいのに」、「メタモルフォーゼ」と4曲の松井五郎作詞曲がTOP10入りし、まさに記録と記憶の両面で工藤静香のヒット曲を支えてきたと言えるだろう。
本作の注目ポイントは、秘蔵音源と最新レコーディングの2曲が初CD化されること。まず、秘蔵音源の方は、1993年にレコーディングされていた作詞・松井五郎、作曲・後藤次利という工藤静香ヒット・コンビによる「Without Your Love(仮)」。燃えたぎる情熱を秘めたラブ・バラードで、それまでの工藤静香に見られなかったような、まさにお宝音源。
そして新曲の方は、松井五郎が今の工藤静香をイメージした書き下ろしで、作曲は「I'm nothing to you」や「Olivia」などセルフ・プロデュース期を支えてきた松本俊明が担当。松井五郎×松本俊明の組み合わせは、工藤静香の楽曲としては初めてとなり、こちらも楽しみだ。
2015年は、ベストアルバム『My Treasure Best –中島みゆき×後藤次利コレクション-』を機に、TV番組への出演など音楽面での活動が目立った工藤静香。2017年のソロデビュー30周年への布石ともなる本作は、工藤静香にとって、また長年のファンにとっても、お気に入り曲の詰まった、まさに“Heartful”な3枚組となっている。