「うちの記者が何回か『A』に、高相が指名してたコを探しに行ったけど、女のコが多すぎて見つからない」
週刊誌デスクが困った顔をしてこうつぶやく。聞くところによると、最近は各マスコミがAに記者を潜入させているという。確かに、ネット上の掲示板などを見ると、高相容疑者がAの常連だったというのが“既成事実”となっていた。ただ、ひとつ気になるのが、逮捕からすでに3週間経っているにもかかわらず、指名していた女性の名前がさっぱり書き込まれていない点だ。
「A」はホテル派遣型のヘルスでJRの渋谷駅から徒歩5分ほどの、風俗店が密集する地帯にある。店に近づくと、テレビに何度も映し出された、高相容疑者が逮捕された現場が見えてくる。その近くのビルの1階にある「A」の受付に入ると、20人以上の女性の写真が並んでいたが、若い店員は、「すいません、早いコで1時間待ちなんです」と申し訳なさそうに言う。まさか“高相効果”でもなさそうだが、なかなか繁盛している。
一応、高相容疑者の妻、のりピー似のコを探してみたが、該当者なし。さらに「のり子」という名前の女性もいなかった。
そこで、まともに話ができそうな、おとなしそうな20代前半の女性を指名した。料金は割引券を使っても、60分コース、プレイルームとして使用するホテル代も込みで2万2500円とそこそこ高い。ちなみに「A」はイメクラで、「痴漢電車」「夜這い」などのコースがあるほか、「セーラー服」「水着」など多くのコスチュームから嬢の衣装を選べる。
待ち時間の1時間半を周辺でつぶし、さらにホテルで待つこと10分、やっと女のコとご対面。いきなり聞くと怪しまれるので、ひと通りプレイして、一服しながら本題を切り出した。
−−ここってのりピーの旦那が常連だったってホント?
「それ、何回かお客さんに聞かれたけど、店長に聞いたら、『来たことない。いい迷惑だ』って怒ってたよ。だから、いくら探しても指名してた女のコはいないと思うよ」
−−逮捕された夜、ここに来ようとしてたみたいだけど?
「ああ、だって、職質されたのがちょうど、うちの受付のビルの前だったもん。うちのほかにもこの周りにお店あるし」
−−あの日、出勤だったの?
「うん。だから、見てたよ。逮捕されるまで3時間くらい揉めてたみたいで、すごい人だかりができてた」
−−じゃあ、のりピーを見たの?
「女の人は見たけど、今思うと、あれがのりピーだったんだって。次の日から、この辺に取材の人がいっぱい来て、うちの店に入ろうとする女のコとか店員にカメラ向けて話を聞こうとするから、かなり迷惑だった」
潜入して分かったのは、どうやら高相容疑者がAの常連だったのは“シロ”。どうりで指名してたコをいくら探しても出てこないはずだ。結局、「Aの常連だった」というのは、“都市伝説”なのだろうか?