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渚ようこの新宿ゴールデン街通信局

 8月1日の早朝、阿久悠さんが亡くなりました。その日の朝、私は新聞を読んでました。小田実さん、イングマール・ベルイマン、ミケランジェロ・アントニオーニ…みんないなくなるなぁって、そんなことを考えていたら電話が鳴って…阿久さんの訃報でした。私は頭の中が真っ白になって。そんな記事を読んでいる時じゃなくてもいいじゃないって。
 私が阿久さんと初めてコラボレーションしたのは、2004年にインディーズからリリースしたミニアルバム「渚ようこmeets阿久悠」でした。  昨年は、阿久さんが岩波新書から出された「書き下ろし歌謡曲」の中から選んだ詞とカバー曲で構成した「HEY YOU!」=写真=を歌わせていただきました。
 私が8月22日にリリースするアルバム「ノヴェラ ダモーレ」に収録された「KABUKU」と「どうせ天国へ行ったって」の2曲が、残念なことですが図らずも遺作となってしまいました。このアルバムについては、また改めて紹介させて頂ければと思います。
 最後にお会いしたのは今年の2月7日、阿久さんの70歳の誕生日でした。奥さんをはじめ身内の方々が六本木のステーキハウスで開いた誕生会に呼んで頂いて。そこで一緒にお食事をしたのを思い出します。その時の阿久さんは、特に普段と変わりありませんでした。ただ、帰り際に「また相談しようね」って、わざわざ言ってくれたんです。私は内心「すぐ打ち合わせればいいのに?」って不思議に思ったんです。でも、いざ作詞をお願いしたら事務所から「時間を下さい」って言われて。それに、待っていてもなかなか作品が上がってこなくて。今にしてみれば、お体の調子が相当悪かったのではないかと思います。
 阿久さんの生みだした、たくさんの歌によって夢をもらい、大切なことを教えていただきました。どの歌も独自の美学にあふれ、阿久さんの書く男と女は、とびきりかっこよくて、怖ろしいぐらいに孤独で、飛び抜けて粋でした。そんな阿久さんの作品を歌うことができて、私はとても幸せな歌手だと思います。

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