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私はこうしてお客様に落とされた 〜ひなた・キャバ嬢(25歳)〜

 キャバ嬢の腕の見せ場でもある瞬間のひとつ、枝との接客(※すでに本指名を入れてくれてるお客様が連れてきたフリーのお客様のことを枝と呼ぶ! …のだとか)。

 ここで場内、もしくは、本指名をもらえるかどうかは、私の営業成績にも関わってくる。

 でもそれ以上に、「○○さんが指名を入れているだけのことはあるね〜」ってくらいは言ってもらわなきゃ、私に本指名を入れてくれているお客様の顔を汚すことになってしまうのだ。「えっ? こんな女に指名料なんか払ってんの?」なんて、死んでも思われたくない。

 そんなプレッシャーに押されながら接客を続けていると、視界の先に何かが飛び込んできた。中村さんだ。

 私たちのボックスから数メートル離れたカウンターで飲んでた中村さんは、目の前の女の子を無視してまで、私にガッツポーズを送ってくる。口パクで何か言っているようだか、サッパリわからない。多分「イケる!」とかそんなことっぽい。

 今、私が新規のお客様相手に指名をもらおうと頑張っているという現状を把握しているんだと思う。そういう空気を読むのだけは早い人だからね。ただ、そんな空気を読むことができるなら、正直放っておいてくれとも思った。

 「ひなた〜! さっきの客どうだった? 指名もらえたか?」
 「場内指名だけどね…。てか、邪魔しないでよ中村さん! 接客してるのに気が散るでしょ!」
 「バカ野郎、応援してやってたんじゃねえかよ!」
 「応援なんていらないのよ! もう、本当に中村さんはお節介なんだから…」

 そう言いながらも、中村さんがちょっと笑わせてくれたおかげで、気が楽になったから場内指名にこぎつけたんだけどね。まあ、確かにちょっとは邪魔だとも思ったけど(笑)。

 「まあまあ、いいじゃん! 頑張ったね、ひなた」

 何が言いたいかって言うと、この「頑張ったね」のひと言に弱いんだよね。仕事って自分の思うようにいかないことの方が多いから、どうしても、褒めてくれたり、認めてくれたりしてくれる人の存在が必要だなって思うんだ。

取材・構成/LISA
アパレル企業での販売・営業、ホステス、パーティーレセプタントを経て、会話術のノウハウをいちから学ぶ。ファッションや恋愛心理に関する連載コラムをはじめ、エッセイや小説、メディア取材など幅広い分野で活動中。
http://ameblo.jp/lisa-ism9281/

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