『パタリロ!』は少女漫画でありながら、女性がほとんど登場しない作品で、取り扱うテーマも「少年愛」や「落語」「妖怪」といった独特のものが当時の読者から評判を呼び、1982年にはテレビアニメ化され国民的人気も獲得。その独特の世界観はビジュアル系バンドにも強い影響を与えたとされ、X JAPANのメンバーである「PATA」は本作の主人公であるパタリロに性格が似ていたことが由来しているという。
『あさりちゃん』(小学館) 、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)など、近年では長寿漫画の連載終了が続いている現在、『パタリロ!』の奮闘ぶりは特筆に値するが、その一方、古くからの原作ファンにとっては、この100巻発売に関しては胸中複雑な思いを抱く読者も少なくないという。
『パタリロ!』は2016年には雑誌連載を終了し、現在では白泉社の運営する漫画アプリ内でのみの連載となっているのだが、その背景には『作画クオリティの劣化』という理由が大きかったという。
特に90巻以降は作者の年齢的な問題なのか、キャラクターや背景など簡略化された作画が目立ち、人気キャラだったバンコランやマライヒといった作画上、手のかかるキャラクターの登場回数がめっきり減り、「ストーリーに厚みが無くなった」と評価されているのだ。
現に購入者がレビューを書き込めるAmazonでは、90巻以降では星マーク1つの低評価が多く付いてしまった単行本も多く、「内容がスカスカ」「魔夜先生、いったいどうしてしまったのか」「既に惰性で漫画を描いているのでは」といったレビューが多く投稿されている。
その評価の影響なのか、前述の通り雑誌連載は2016年に終了。一部ファンの間では「100巻をもって連載が終了するのではないか」との噂も囁かれていたのだ。
100巻が発売された現在、『パタリロ!』はまんがパーク内で連載中で、100巻以降も単行本は発売される事は決定的であり、一部ファンの間では「晩節を汚す前に終わって欲しかった」という厳しい意見も多いという。
『こち亀』(全200巻)・『ゴルゴ13』(リイド社より191巻が24日発売予定)を始めとする、史上14番目の100巻超えタイトルへ登ることになった『パタリロ!』だが、その裏側を見ればあまり祝福できない事態なのかもしれない。