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キャバ嬢列伝 〜接客業の神髄はキャバクラにあり! “おもてなしのこころ”を学んで〜

 ある政令指定都市のクラブで働くAさんは異色の経歴を持っている。

 なんと彼女はそこそこ歴史のある旅館の跡取り娘なのだ。

 本来ならばお嬢様である彼女が、なぜ夜の世界に飛び込んだのか。それには正しく彼女の生まれ育ちが関係していた。

 将来母の跡を継ぐことが大方決まっていた彼女は、幼い頃から礼儀作法を習い、厳しくしつけられてきた。そんな彼女がクラブで働きたいと言った時、当然家族は猛反対したと言う。特に、現女将の母親の反対は大変なものがあったという。しかし、彼女は夜のバイトをするからとごまかしてそのクラブで嬢として働き初めてしまったのだそうだ。

 彼女がクラブで働いていることは、ひょんな事から明らかになる。昔から旅館に来てくれていたお得意様である年配の社長さんが、偶然付き合いで彼女の勤めるクラブに来店したのだ。

 社長は当然ながら彼女に驚いたが、それはむしろ彼女の接客態度を見てだったという。テーブルについたお客様の様子をよく見、細かいところまで配慮を怠らない、完璧な接客技術が身に付いていたからだ。

 そもそも彼女がクラブで働く事を決意したのも、接客技術を学ぶためだった。日毎に違うお客が入り、人によって応対を変えなければならない業種で一番学べると彼女が考えたのがお水の世界だったのだ。

 この店で働く事に決めたのは、彼女の昔から通っていた活け花教室にこの店のママも通っていたことがあった。ドレスが主流になった今でも上等の着物を着こなすママはお客や店の事を第一に考える人だった。活け花を習ってお客様のために手づから花を飾る、そんなママのもとで接客技術を学んで将来のために活かしたいと考えていたのだ。そして、彼女の考えを知ったママも彼女に協力する事にしたのだと言う。

 彼女はそんなに長くこの店では働かないと言っている。もっと接客技術を学んで、実家の旅館を継ぐ。

 「だから今は修行中なの」

 彼女はそう言って笑った。

(和田大輔/山口敏太郎事務所)

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