昨季、フィリーズ、パイレーツに在籍したルナは、昨オフ、中日と1年35万ドル(当時約2870万円)の格安年俸で契約した。
シーズンに入ってみれば、走攻守ともにそろった選手で、常に全力プレー。5月のセ・リーグ月間MVPを獲得するなど、5月まで打率4割をキープしていた。
そんななか、球団は6月5日、まだ開幕から2カ月しか経っていないというのに、ルナとの契約延長を早々に決断。来季から、年俸200万ドル(現在のレートで約2億円)プラス出来高の2年契約(3年目は球団に選択権)を結んだ。
中日は昨オフに主砲のトニ・ブランコ内野手ら3外国人選手を、銭闘の末、DeNAにかっさらわれてしまった苦い経験があったため、早期に他球団への流出を防いだとみられる。
来季からの年俸が約6倍に跳ね上がったことで、不安視されたのは、ルナからハングリー精神がなくなってしまうこと。
契約延長後、ルナの打率は急降下したが、それでも、7月17日現在、打率.369(リーグ1位)、9本塁打、50打点の好成績を残しており、得点圏打率(.441)の高さは、群を抜いている。
「性格もマジメなルナだけに、ビッグな契約を手にしても、手を抜くことはないでしょう」(某スポーツ紙記者)と言われていたが、ここに来て、どうも雲行きが変わってきた。
ルナは6日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)での走塁中に左ヒザを痛め、途中交代。次の試合から欠場したが、“軽傷”として病院にも行かなかった。
その後、8日からの沖縄遠征にも帯同し、ヤル気をアピールしていたが、練習中に痛みが出たとして名古屋に戻り、10日に精密検査の結果、腸けいじん帯炎で、腱やじん帯に異常はなく軽傷と診断された。
13、14日の巨人戦(ナゴヤドーム)には代打出場。「15日からの広島戦から、スタメンで出たい」と話していたが、15日の広島戦(マツダスタジアム)での試合前の練習の状態を見て、「休みたい」と言い出して欠場。そして、16日に大事を取って出場選手登録を抹消された。
それでも、19日からのオールスター戦には出るものと思われていたが、高木守道監督の指令を振り切って、「治療に専念したい」と球宴も辞退した。果たして、そこまでひどいケガなのか?
野球協約には球宴を辞退した場合、後半戦開幕から10試合は出場選手登録できない規定があるため、ルナが復帰できるのは、最短でも8月4日となる。
球宴のベンチには高木監督も入るため、指揮を執る巨人・原辰徳監督に、ルナに無理をさせないように指示するのは容易なこと。せいぜい、1試合程度の代打出場でお茶を濁せば、辞退などする必要はなかった。
それでも、ルナが「治療に専念」とのわがままを通してしまったため、中日は後半戦スタートの10試合を4番不在で闘わなければならなくなくなり、高木監督の目算も狂ってしまった。
痛いのは確かだろうが、ヒザのケガは軽傷。大型契約を手にしたルナは、「ハングリー精神をなくして、サボタージュしている」と言われても、いたしかたないかもしれない。
(落合一郎)