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巨人物量野球に閉塞感

 昨年の5番打者・亀井、今季打撃30傑トップの2番打者・松本、開幕から無傷の4連勝だった内海らが故障で戦線離脱しても、全く影響なしの巨大戦力。

 リーグ4連覇、2年連続日本一へ順調に首位を走る巨人の物量野球には、無敵ぶりよりも閉塞感が漂う。
 「あれだけ選手がいれば、誰が監督でも勝てる。しかも、他球団の主力をごっそりとお金で引き抜いてきているんだからね。巨人に6連敗している、戦力層の薄い広島など可哀想になってくる。引き留めるお金がないから、FA選手が次から次へと移籍した結果だからね。この間、選手会が発表した各球団の総年俸を見ても、ダントツの最下位。選手会関係者からも『同じプロ野球なのに、広島の選手は年俸が安すぎてちょっと気の毒』という声が出たくらいだからね」。
 球界OBがズバリこう指摘する通りだろう。無敵のV9巨人と徹底的な差は、打線でいえば不動でなく、浮動のオーダーということに尽きる。取っ替え引っ替えで勝っても、巨大戦力が浮き彫りにされるだけ。他球団の監督の本音も「あれだけの戦力をもらえれば、優勝できるだろう。ウチの主力選手も引き抜かれているしね」だし、他球団のファンも「1チームだけあんなに戦力を抱えるのは、反則だろう。ウチの選手を返せ」と思っている。
 だから、ONを核にした生え抜きの個性派スター軍団のV9に対しては他球団もアンチ巨人ファンも「打倒・巨人」というぎらぎら燃えるものがあったのに、今の巨人に対しては全くない。お金でかき集めた物量巨人軍が勝つのは当たり前というあきらめと、閉塞感が漂うのだ。「もうセ・リーグの灯が消えてしまうのか。これから長いペナントレースをどうすればいいんだ」と、日本プロ野球組織(NPB)関係者が深刻な危機感を抱くのは当然だろう。

 「中日の野球には閉塞感がある」。巨人・原監督が落合監督率いる中日をこう手厳しく批判したのは、昨年リーグ3連覇を達成した後だった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に中日の選手を1人も派遣しない非協力体制、マスコミに対して沈黙を貫き、選手のケガも隠す秘密主義を「閉塞感がある」と言い放ったのだ。
 が、その言葉はそっくりそのまま原監督に跳ね返っている。「V9を超えるV10を目指す」と宣言するからには、故障で簡単にリタイアしない、魅力あふれる生え抜きの不動のV10メンバー作りが急務だろう。勝つために次から次へと選手を代えていく物量作戦を続けていく限り、勝てば勝つほどファンが野球に背を向けていくことになる。

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