今年4月に70歳を迎えた上沼は、6月に新曲「人生泣き笑い/大阪ラブレター」(テイチク)をリリースするなど、相変わらず多忙な生活を送る。1971年、姉妹漫才コンビ「海原千里・万里」の千里としてデビュー、関西きっての売れっ子芸人として人気を博した。1977年、結婚を機に引退。出産を経た翌78年「上沼恵美子」として復帰し以来、関西を拠点にテレビやラジオで活躍を続け「西の女帝」の異名を持つ。
人や自分にも厳しいという上沼だが、冒頭番組では「まったくダメ。もう自信喪失」と弱気を見せ、「これはもう言わへんかってん。本当に1カ月ぐらい前、ツラかったんで。元気なかったと思いますよ、ラジオも。自信喪失っていうの久しぶりにきたわ」と吐露。さらに「この間は『引退』という2つの文字が(浮かんだ)」と明かし、その経緯について「ちょっとバッシング受けてね。『もう、あんなオバハン、やめとけ』みたいなんが、やっぱあるわけ。それはもう慣れてんねんけど、『あんなん言うてるわ。言わしとけ』って思うけど、あかんときもあんねん。自分に思い当たるから。『あかんかったな、申し訳なかったな』と思うところへそういうコメントをパッと見てしまったら、『ああ、なるほど。こうやってタレントは引退という線を引いていただくんやな』って。1カ月以上前かな」と珍しく弱音を吐いたのだ。
一体、上沼を引退に追い込んだ批判とはどんなものなのだろうか。
「今年8月放送の『ザ・共通テン!』(フジテレビ系)にゲスト出演した上沼は、タレント・三宅健から『この仕事をする上で、いちばん大切にしていることって何ですか?』と質問され、『やっぱり、礼儀やな』と返し、自身はどんなタレントに対しても必ず立ってあいさつすると明かしたのです。ところが、大御所への礼儀がなっていないタレントに対しては『本番中、自分の番組だったら一切(話を)振らない』とぶっちゃけ、態度がなってないあるタレントを標的に『今日、面白いもん見せてあげるわ』とマネジャーに事前に知らせておき、本番中にそのタレントへ一切話を振らず、目も合わせなかったというエピソードを披露しました。ところが今の時代、上沼の行為は“パワハラ”に該当するという声が相次ぎ、ネット上で“袋叩き”にされたのです」(芸能ライター)
このバッシングにさすがの上沼も打ちのめされたのだろう。上沼には仕事以外に日常生活までをサポートするマネジャーがいるというが、引退ついて相談したところ「やめたらいいと思います」と返されたと明かした。
上沼は「ザ・共通テン!」放送後の8月、記念イベント「新曲リリース感謝祭2025」を大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開催。その際、「今は本当にややこしい世の中になりました」と語り、「そのなかでも『どない言うたらエエか分からん胸のつかえをえみちゃんが言うてくれた!』と思ってもらえる。これを続けてきたことが流してくださる涙につながったとするならば、言えているうちはやっていこうと思います」と高らかに宣言している。その一方で、「それが言えなくなったらもう辞めます」と明言している。
コンプライアンスが年々厳しくなり、「本当にややこしい世の中」となってきた。おそらく上沼は、「それが言えなくなった」と痛感したのだろう。